2017.12.27

トーク

「コミュニティへの入りかた」ライター 前田有佳利さん

東京で働いていた会社を辞め、地元和歌山に戻り活動しつつ、ライターとして全国を飛び回る前田有佳利さんに「地域のコミュニティへの入り方」について伺った。

Uターンを含めて移住をした人たちにとって、なかなか地域のコミュニティに入りづらい気がします。地域のいろんな情報を得たり、入りたいと思える地域コミュニティを見つけるのってどうされているんでしょうか。

前田 まず、地域のハブになってる人を見つけようとします。私の場合、ゲストハウスからが多くて、(他の地域で泊まった)ゲストハウスのオーナーさんに聞きます。ただ、和歌山に帰ったときは目立ったゲストハウスがなくて、Facebookで「地域おこし協力隊」って検索しました。共通の友人がいる方なら安心できるなと思って。で、探したら一人いて、その方に興味がありそうなところにつないでもらいました。

それって「関係」案内所ですね。ある雑誌の編集長がこれからは「観光から関係」って話されていて。人との「関係」を案内してくれるような場所があるといいですよね。

前田 今はその役割がゲストハウスになっていますね。他にもカフェや本屋の店主がそういう人になってる地域もあります。

女性向けのコミュニティってどうやって見つけるのがいいんでしょう。

前田 Facebookを使う事が多いですね。丁寧に見ていくと共有の友だちが出てきたりする。絶対安心感が違う。入る前に聞けるし。この人が言うんだったら大丈夫だとかあるじゃないですか。

その「この人」を見つけるのも難しいですよね。

前田 それは数珠つなぎで一生懸命つなげて遡るしかないなと思っていて。ゲストハウスのサイトも出会ったオーナーさんにオススメの宿をどんどん聞いていって、それをずっと追いかけて成り立っています。宿に行って外れた気分になることが本当になくて。オススメの人の入り口が一人でも見つかったらいいですよね。

前田さんにそんなきっかけをつくってくれた最初のエピソードを教えてください。

前田 社会人2年目のときに、家と会社だけを往復する生活をしていました。仕事もまだ慣れていないし、後輩もいてパンクしそうになってた。会社でひとつ失敗すると人生全部が「もうダメ!」みたいになる。コミュニティが会社だけで危険だって思ったけど、その時知ってた異文化交流会とか合コンとかには全く興味がなくて。そんなとき、ある友だちに「ゲストハウスが合ってると思うから行ってみるといいよ」って言われたんです。実は会ったのは初めてだった人だったんですけどね(笑)
シェアハウスに大学時代の友人が住んでいて、信頼してるかなり面白い子で。一度泊まらせてもらったら、次の日の朝、他の住人が朝からワイン飲んでて。いろいろ話していたら、後日ゲストハウスを紹介する連絡をくれました。

それって「ゆるいつながり」の話ですね。飲み屋で偶然隣り合った人とかそんなに頻繁に合わない人とのつながり。家族みたいに近い人だと、本当に悩んでることを話せなかったりするけど、逆に遠い人の方が案外話せるってことがありますよね。「あなたにあってるのはこれじゃない?」みたいな人生を変える出会いをくれるのは、そんな「ゆるいつながり」だって言ってる学者がいて、まさにその話だなって。

前田 ゲストハウスのわたしのつながり、全部そっちですね。会社の話とか、ちょっと弱音言った時点でその先にいる人の顔とか浮かべられたら、ややこしいなって思って誰にも言えなかったんですよ。そういう抱えてたことがゲストハウスだと言えるし、言えなくても他の話で盛り上がるから、コミュニティが他にできたのは有り難かった。
そのコミュニティで得たことを仕事に活かせたりもありました。知識とか感性に触れる環境を増やしたことで自分が変わるという状態ができて。生まれや年齢、仕事が違う人が集まるコミュニティを1個持てることって、1個新しい辞書を買ったレベルで、引用する人が増えることってすごい大事だなって思いました。

なるほど、いきなり新しい自分のコミュニティを見つけるとかなかなか難しいから、その手前に人と交流したり、ふらふらしてみる。そうすると本当に行きたいところに行くきっかけをつくってくれる、みたいな感じなんでしょうね。もしかしたら、それは何かって形が分かってたら行けばいいけど、形が分かってないし、それはどこかすらも分かってないから、そのどこかを指し示してくれる関係性みたいなのを少しつくってみるっていう感じですね。

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